村山談話・河野談話に未来はあるか?
第34回 16人の慰安婦証言に裏付けなしの
「第2次調査」報告書
第30回で慰安婦問題は「事実」の問題と「政治」の
問題があると述べた。
強制連行はないという「事実」の問題は日韓両政府とも
認識していたので、あとは「政治」の問題として、一度
「強制連行」を認めて謝罪すれば終結するはずだった。
そこで謝罪するために「第2次調査」が行われ、
韓国側が用意した元慰安婦の証言者の聞き取りだけが、
裏付けなしで唯一の証拠となった。
こうして「第2次調査」結果報告書が公表され、
日本政府が責任を認め謝罪する決定的根拠とされた、
韓国人元慰安婦16人の証言は非公開とされた。
公開されたらたちまち信憑性が一切ないのがばれてしまう
からだということは、慰安婦訴訟第1号原告・金学順の
証言の例から容易に想像がついた。
その非公開資料は20年後に産経新聞が入手、報道した
(2013.10.16)。
それによると案の定、「当時朝鮮半島では戸籍制度が整備
されていたにもかかわらず、報告書で元慰安婦の
生年月日が記載されているのは半数の8人で空欄が6人いた」
とか「大阪、熊本、台湾など戦地ではなく、一般の娼館は
あっても慰安所はなかった地域で働いたとの証言もある」
とかで、歴史資料としては通用しない内容だったそうだ。
第2次調査の報告書では、問題の「慰安婦の募集」の項に、
次のように書かれていた。
「慰安婦の募集に関しては、軍当局の要請を受けた
経営者の依頼により斡旋業者らがこれに当たることが
多かったが、その場合も戦争の拡大とともにその人員の
確保の必要性が高まり、そのような状況の下で、
業者らが或いは甘言を弄し、或いは畏怖させる等の形で
本人たちの意向に反して集めるケースが数多く、更に、
官憲等が直接これに加担する等のケースもみられた」
さすがに「強制連行」という直接的な言葉は使っておらず、
遠回しの分かりにくい表現になっている。
悪質な業者が「甘言」だの「畏怖」だのの手段を使った
例はあるだろうが、本連載第17回で触れたように、
軍はそのようなことが起こらないよう適切な業者を
選定せよと通達を出していた。
それをこの報告書は何の証拠もなく、正反対に
「官憲等が直接これに加担する等のケースもみられた」
として、官憲等(軍も含む)が直接「甘言」「畏怖」
などの手段で「強制連行」をすることもあったと
認めたのだ。
そしてこの報告書とセットで発表されたのが、
いわゆる「河野談話」だった。